第194章 母親が彼に会うことすら嫌がるのが怖い

中野航平は、結局渡せなかった弁当を提げたまま、やけに機嫌よく家へ戻った。

玄関に足を踏み入れた瞬間、息を切らした息子が紙を一枚握りしめて駆け寄ってくる。

「パパ! 夏休みの計画、作ったんだ。早く見て、これでいい?」

中野蓮は呼吸も整わないまま、その紙を航平の手にぐいっと押しつけた。

「……どれどれ」

航平は受け取るなり目を落とす。

横で蓮が落ち着きなく催促した。

「どう? パパ、けっこう上手く書けてるでしょ?」

――ママと過ごした夏休みを、必死に思い出しながら作ったのだ。自分では、かなり満足している。

航平は黙って数秒、紙面を追い――蓮の期待でいっぱいの目を見下ろして言った...

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